拡大する無人店舗や無人販売、その背景とデメリットとは
はじめに
皆さんのお近くに無人店舗はありませんか?
5年ほど前まではほとんど目にすることがありませんでしたが、ラーメン、餃子、古着など、様々なものが無人店舗で販売されているのを目にする機会が非常に多くなったと感じます。また、店舗だけでなく、自動販売機の設置なども増えているように思います。今回は無人店舗、無人販売など、近年注目を集める新たな販売戦略について見ていきましょう。
無人店舗拡大の背景
コロナ禍以降に無人店舗・無人販売というキーワードを耳にすることが増えた印象が強いですが、それ以前の2016年には中国で無人コンビニエンスストア「Bingo Box」がオープンし、急速に店舗数を拡大するなど、すでにブームになる兆しはあったようです。
当初は、人件費削減を大きな目的として参入する企業が多かったようですが、有人レジよりも決済に時間がかかるなど、利便性でのマイナス要素が響いたことで、現在では鳴りを潜めています。
2020年以降は、非接触・非対面ニーズの高まりから、日本でも無人店舗が拡大していきました。同年に開業した高輪ゲートウェイ駅構内に無人コンビニ「TOUCH TO GO」がオープンしたことが話題になりましたよね。
無人店舗ではないものの、大手コンビニやスーパーではセルフレジやレジ機能付きのショッピングカートを広く導入するなど、人手不足を補うツールとして活躍している印象を受けます。
また、食品ロス削減の取り組みとして、賞味期限間近の商品や企画終了に伴い廃棄される予定だったものを無人販売機で販売するケースもあるようです。
無人店舗、無人販売のデメリットとは?
人件費を削減でき、24時間営業も可能な無人店舗が拡大している一方で、当然デメリットもあります。
容易に想像ができ、かつ最大のデメリットであるのは、人目がないことによる盗難、窃盗のリスク増大にあります。強固なセキュリティシステムを導入していても、人の目による監視がないため、完全に防ぐことはできません。無人販売は性善説に頼るところが大きいため、一度「窃盗しやすい店」の印象がついてしまうと、経営が立ち行かなくなってしまいます。
これらの盗難、窃盗対策として、キャッシュレス決済システムや防犯カメラなどの設備を導入する選択肢もありますが、どうしても初期投資が嵩んでしまいます。
一見、人手も掛からずコストを抑えて参入できそうな分野に見えますが、デメリットを小さく売上貢献する仕組みを構築するためには、一定のコストが発生する可能性があります。
最後に
今後も無人店舗、無人販売という業態は、食品業界などを中心に増えていくと予想されます。接客サービスを伴う飲食業界などでは、今後も人手不足感は解消されないため、積極的に省力化、無人化を検討する企業が多いようです。また、様々な技術の進化により、AIを活用した無人接客サービスや顧客データを活用した新たな無人店舗の運営方法が出てくると思われます。
私たち消費者にとっても利便性向上は非常にありがたいことですが、これらの動きが人手不足の解消、フードロスの削減などに繋がり、業界全体にプラスの影響をもたらしてくれることを期待しましょう。