トレーサビリティは何のため?
はじめに
みなさんは目の前にある料理の原材料がいつどこで収穫されて、どこのお店にいつ仕入れられて、誰にいつ買われて、いつ調理されて、ここにやってきたのか…ということについて考えたことがありますか。
「店で販売している=安全な製品」という、一見当たり前のように思える図式の上で製品は流通しています。ですが、残念ながら「絶対」はあり得ないのが現実です。
過去の記事でも紹介しましたが、改めてトレーサビリティの現状や重要性について解説していきます。
- いつ生産した製品がいつどこに販売されているか把握できていない
- 入出荷、在庫管理に関わる業務を効率化して物流コストを削減したい
- 他システムとの連携がとれておらず重複作業が発生しているので改善したい
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トレーサビリティ(Traceability)は追跡(Trace)と能力(Ability)をあわせた造語で、よく「追跡可能性」と訳されます。
また、農林水産省は食品トレーサビリティについて、「食品の安全性等に問題が発生した際に、問題のある食品がどこから来たかを調べ(遡及)、どこに行ったかを調べる(追跡)ことができ、迅速に原因究明や食品回収等を行う手法として有効である」としています。
自主回収で失うもの
近年、多くの消費者は食の安全に敏感になっています。異物混入などの事象がSNSで直接個人から世界に発信されてしまうのです。そうなったときの企業損失は計り知れないものがあります。
金銭的な損失としては、例えばリコール告知の場合、新聞広告への掲載費用は新聞社にもよりますが、全国紙なら1ページ全面で1,500万円~4,000万円程度かかります。その他にもテレビやラジオ等のメディアCMの費用、そしてすでに流通している製品の回収費用、製品の返金等がかかってきます。
しかし、経済損失以上の企業損失は、世間からの信用損失でしょう。株価への影響、売り上げへの影響、中小企業なら倒産の危機に至ることもあります。
食品の回収には企業の独自判断による「自主回収」と「法令に基づく回収」があります。「自主回収」は毎年1,000件前後で推移しているといわれています。前述したように、今はSNSによるネガティブ情報の拡散が多いため、企業は何かしらの負のアラートを察知すると過剰なまでに反応し、自主回収に踏み切っているのが現状です。
企業は何か起こったときに被害を最小限に抑えることが最優先です。
例えば異物混入などの理由で自主回収となった場合、トレーサビリティの仕組みがなければ流通している全ロット回収ということにもなりかねません。
ですが、トレーサビリティの仕組みがあればいつ製造したどのロットを回収すればよいかが明確になり、消費者への被害も企業の経済損失も最小限にとどめることができるのです。
もちろん、消費者より早く不具合を察知して、企業側からいち早く発信することができる場合もあるので、信用損失も最小限にとどめることができるばかりか、むしろ「管理がしっかりしていて信用に足る企業だ」という評価を受けることもあるかもしれません。
トレーサビリティの現在地
農林水産省が令和2年1月中旬から2月中旬にかけて生産者等の食品トレーサビリティに対する意識・意向に関しての調査を実施しました。対象は農業者、漁業者、流通加工業者です。
「出荷の記録」について「保存している」と回答したのは、農業者が88.6%、漁業者が91.2%、流通加工業者が79.2%でした。
次に、「保存している」と回答した方に保存している理由を聞くと、1番多かった理由が、「税務・経理事務のため」で、農業者では66.0%、漁業者が66.8%、流通加工業者に関しては79.3%と最も高くなっています。つまり出荷の記録を保存している1番の目的は「トレーサビリティ」では無いということです。「トレーサビリティ」の目的である、「原因の究明や農畜水産物(食品)の回収に対応するため」は、農業者47.7%、漁業者45.6%、食品加工業者54%と、50%前後であることがわかりました。
この結果を見ると、理由はともかく保存の仕組みはあるわけですから、トレーサビリティのメリットを伝えて意識改革をする必要があると思われます。
もちろん、出荷の記録があればトレーサビリティは十分というわけではないですが、意識が変われば行動が変わってくるのが常ですので、仕組みづくりは加速するのではないでしょうか。
重要性
トレーサビリティには2つの考え方があります。
①「チェーントレーサビリティ」…製品を作るにあたり、原材料の生産、出荷、加工、流通、販売等を担当するそれぞれの企業間をまたいで製品の管理、追跡ができる状況を作ること。
②「内部トレーサビリティ」…例えば加工業者であれば、自社の加工の工程で製品を管理、追跡できる状況を作ること。
一般的に「トレーサビリティ」といえば「チェーントレーサビリティ」を指すことが多く、この仕組みがあれば何か起こったときに責任の所在を明らかにすることもできますし、産地偽装や消費期限の改ざん等もしにくいというメリットが考えられます。
ただ、「チェーントレーサビリティ」は企業間を跨いだ追跡の仕組みが必要であるため、仕組み作りが難しいといった側面もあるようです。
トレーサビリティの仕組みを構築するのに必要なのは、人手とコストだと思います。
人手は、トレーサビリティの仕組みが無い企業が新たに構築するのか、現行の仕組みをブラッシュアップするのかでも違いますし、コストでは紙ベースの管理なのか、データベースの管理なのかでも違ってくるでしょう。
ですが、トレーサビリティは企業にとって、今後は当たり前の取り組みになっていくのではないでしょうか。
以下は農林水産省のホームページより抜粋した、トレーサビリティの取り組みをしている企業の声です。
・「工程ごとに作業の記録ができることから、万が一に事故が発生した場合でも、迅速に対応ができる。また、信頼関係の構築ができ、販路拡大につながった。」
・「過去に回収を行ったことがあるが、製造日毎にロット管理を行っていることから、最小限の回収にとどめることができた。」
今まで大きな事故は起こっていない、というのは結果論でしかありません。何か起こったときを想定してトレーサビリティに取り組んだからこその発言ですよね。
トレーサビリティは、企業の透明性を高め、不正ができない環境をつくり、消費者の食の安全を守ることに繋がっていきます。
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