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食品の「歩留まり」って?

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製造業における「歩留まり」


製造工場において、歩留まりとは「生産された製品に占める良品の割合」のことで、歩留まり率は良品の割合をあらわしたものです。

歩留まり率(%)=良品数÷生産数×100で表すことができます。

つまり、ある製品を100個製造した中の95個が良品であれば、歩留まり率は95÷100×100=95%となります。

2つのレーンで同じ100個の製品を生産したとして、1番レーンの歩留まり率は95%、2番レーンの歩留まり率は80%であった場合、2番レーンの何が問題なのかを調べて改善していく必要があります。

原因を究明しなければ、1つのレーンで1日2,000個の製品を製造していた場合、1番レーンのロスは100個ですが、2番レーンのロスは400個になってしまいます。それが毎日続くわけですから、工場の損失は日々膨らんでいきますよね。とはいえ、歩留まり率の改善ばかりに囚われてしまうと働き手のモチベーション低下に繋がるという考え方もあるようですので、歩留まり率100%を目指すより、ほどほどの着地点を決め、それを維持することに取り組むことが大切なのかも知れません。

また、一概に歩留まりが高いから良い、低いから悪いというものではありません。例えば、歩留まりの低いA社は、一律の厳格な検査基準を設けることで、完璧な製品のみを良品として出荷しているのかもしれませんし、反対に歩留まりの高いB社は碌な品質管理を行わず、明らかにおかしなものしか不良品として認識していないのかもしれません。

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食品業界における「歩留まり」


一方で、食品業界でいう歩留まりとは何を指すのでしょうか。食品業界では「可食部位が全体の割合のうちどのくらいあるか」を歩留まりといいます。計算式は以下の通りです。

歩留まり=総原材料(kg)-可食部位(kg)

歩留まり率(%)=可食部位(kg)÷総原材料(kg)×100

例えば、焼肉屋さんが10㎏の肉を仕入れたとします。肉をお客様に出すためには加工が必要です。筋や脂の多くはお客さんに提供することはできず、廃棄することとなります。それらのロス部分が全体で1.5㎏あったとしましょう。

計算式に当てはめると、
歩留まりは10kg-1.5kg=8.5kg、歩留まり率は8.5kg÷10kg×100=85%となるわけです。

野菜にも歩留まり率が高いものと低いものがあります。
殻が付いている「えだまめ」や「そらまめ」。芯がある「とうもろこし」などは可食部位がその分少なくなりますから歩留まり率が低い野菜で歩留まり率は50%~70%です。

一方、「ほうれんそう」、「白菜」、「きゅうり」、「トマト」などは捨てるところがほとんど無く、90%以上の歩留まり率を誇ります。

歩留まり率と利益の関係


スーパーなど、仕入品をそのままをエンドユーザーに販売する店舗であれば、歩留まりを気にすることはありません。
販売価格-仕入れ価格=利益ですので、いくらの利益を乗せて販売するかを考えればよいわけです。

しかし、原料を加工して販売する食品工場や、仕入れた食材を調理して提供する飲食店であれば、歩留まり率を考慮した価格設定をする必要があります。
仕入れ価格と値段だけを考えていると食材によっては利益が大きく減ってしまうことがあるからです。 

少しでも多く利益を残すためにはいろいろな方法が考えられます。仕入れ価格が安い卸業者を探すとか、保存が効く食材なら大量購入で仕入れ価格を下げるといったことも有効ですよね。もちろん歩留まり率を上げるのも一つの手段です。

ですが、食材の場合、可食部がある程度定まっていますので、歩留まり率を上げることは想像以上に難しいものです。
だからといって何の策も講じないということではなく、飲食店では野菜クズはスープに使ったり、カットの方法を工夫してなるべくロスが出ないようにしたりと努力をしているところもあります。
しかし、この食品を作る上でどうしても外せない食材に限って歩留まり率が低いということはありますし、だからといって、歩留まり率の高い食材を使ったものしか作らないとなると、なかなかに制約が大きくなります。

歩留まりとフードロス


上で述べたように、食品の歩留まり率が100%であれば、その食品は余すことなく使われているということになります。人体に悪影響のあるものを無理やり食べて、「歩留まりが高くなった!」というのは極端過ぎますが、「食べられはずの部分」を「食べられるもの」に変えることができれば、歩留まり率の向上、ひいてはフードロスの削減に繋がります。 

例として相応しいかは置いておいて、オレンジが分かりやすいかと思います。

「オレンジピール」をご存知でしょうか。これは、普段私たちが当たり前に捨ててしまう、オレンジの皮を加工した食品です。それ自体を商品として売っていることもあれば、洋菓子の原料として使われていることもあります。
これはオレンジの歩留まりを高くしているだけでなく、食べられるはずのものを無駄にしていないという観点では、フードロスの抑止に一役買っているという見方もできます。

近い将来、私たちが現在「食料」として口にしているものが底を突くと言われています。一企業であれ、一個人であれ、個々が食べ物を無駄にしない努力を続けていければ、また違った未来が待っているかもしれません。

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