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15年ぶりの食品衛生法改正(その3)

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国際整合的な食品用器具・包装容器の衛生規制の整備


食品衛生法改正により、「国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備」がなされることとなりました。

私たちが購入する生の食材や調理済みの食材は、お店によっていろいろな容器に入れられています。
それらは卸業者から販売店に運ばれる際にも何かしらの容器に入っていますし、調理の際にも様々な調理器具が食材に触れています。
今回の改正では、器具・容器包装の素材について使用可否の元になる考え方が変わりましたので、どう変わったのかを見ていきましょう。

平成30年6月13日に公布された食品衛生法の一部を改正する法律により、食品用器具・容器包装について、安全性を評価した物質のみを使用可能とするポジティブリスト制度が令和2年6月1日に施行されました。これには5年間の経過措置期間が設けられており、経過措置期間の終了は令和7年5月31日となっています。経過措置期間であれば、ポジティブリスト制度の施行日以前に製造または輸入された器具・容器包装と同様のものを、製造、輸入する場合は、施行日から5年の間は原材料がポジティブリストに収蔵されているとみなされます。

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食品衛生法による器具・容器包装とは


【器具】
飲食器、割烹具その他食品又は添加物の採取、製造、加工、調理、貯蔵、運搬、陳列、授受又は摂取の用に供され、かつ、食品又は添加物に直接接触する機会、器具その他の物をいう。

例) 各種食器、カトラリー、鍋、フライパン、まな板、泡だて器、おたま、ラップ 等

【包装容器】
食品又は添加物を入れ、又は包んでいる物で、食品又は添加物を授受する場合そのままで引き渡すものをいう。
例) ペットボトル、牛乳パック、弁当容器、レトルト食品のパウチ、缶詰、箱、袋、包装紙 等

改正の対象


対象素材
食品衛生法施行令第1条で「合成樹脂」と定められました。

対象範囲
・合成樹脂製の器具・容器包装。
・他の素材の器具・容器包装であって食品接触面に合成樹脂の層が形成されている場合の合成樹脂。
なお、合成樹脂には熱可塑性を持たない弾性体であるゴムは含まれないとされています。

対象物質
・合成樹脂の基本をなすもの(基ポリマー)
・合成樹脂の物理的又は科学的性質を変化させるために最終製品中に残存することを意図して用いられる物質(添加剤)

※ポジティブリストに掲載されていない物質は使用できないわけではなく、以下の通り、令和2年厚生労働省告示第195号において定められています。
「人の健康を損なうおそれのない量が、食品中濃度として0.01mg/kgと定められ、合成樹脂が食品に接触する部分に使用されず、当該量を超えて溶出し、又は浸出して食品に混和しないよう加工されている場合には、ポジティブリストの収載された物質以外のものも使用可能である。」

対象事業者
・器具(部品を含む)を製造する営業者。
・食品又は添加物を製造する営業者に納入される直前の容器包装を製造する事業者。
・器具又は容器包装の製造が委託されている場合は、器具又は容器包装の製造を別の器具又は容器包装の製造者に委託する者及び委託先。

ポジティブリスト制度


日本では、制度導入前はネガティブリスト制度により器具・容器包装の素材を規制していました。ネガティブリスト制度の考え方は「使用を原則認めた上で、使用を制限する物質をリスト化する」というものです。

しかしこの制度は、以前からポジティブリストを採用している欧米の規制とは異なるため、例えば、外国で使用が認められていない科学物質が、器具及び容器包装に用いられてもただちに規制することができない等の問題も生じることから、今後の国際的な動向との整合性も取れないために見直す運びとなったのです。

ポジティブリスト制度を導入している主な国は以下のとおりです。

米国、欧州(EU)、イスラエル、インド、中国、インドネシア、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、サウジアラビア、ブラジルなど

一方、ポジティブリスト制度とは「使用を原則禁止した上で、使用を認める物質をリスト化する」というものです。
器具・容器包装の対象となるものは、ポジティブリスト制度に則った対応が必要となります。
具体的には、ポジティブリスト制度の対象となる器具又は容器包装を製造又は販売する営業者は、その取り扱う製品の販売の相手方に対し、ポジティブリスト制度に適合している旨を説明することが義務付けられました。

また、器具又は容器包装の原材料を取り扱う事業者は、器具又は容器包装の製造事業者からポジティブリスト制度への適合性の確認を求められた場合には、必要な説明をするように努めなければなりません。
その際は、仕様書や品質保証書、業界団体の確認証明書等を用意する必要があり、口頭説明のみというのは認められていません。

業界団体の確認証明書とは


熱可塑性樹脂に関しては、三衛生協議会(ポリオレフィン等衛生協議会、塩ビ食品衛生協議会、塩化ビニリデン衛生協議会)の「食品用器具及び容器包装等に関する自主基準」に適合していることを確認したときに、確認証明書が交付されます。三衛生協議会の会員は、確認証明書を取得した製品に対して自主基準に適合していることを示す適合マークを表示することができます。

器具・容器包装製造事業者の届出制度


令和3年6月1日より器具・容器包装製造事業者の届出制度が施行され、対象事業者は管轄の保健所への届出が必要となりました。
製造工程の一部を委託している場合は、委託先を含めて製造事業者として届け出る必要があります。

届出は、施行以前から事業を行っている事業者であれば経過措置期間終了日である令和3年11月30日までに、新規参入の場合は営業の開始前までに届け出る必要があります。

私たちが直接口に入れる食品のみならず、それに触れる調理器具や容器包装まで法律により規制されていることが分かって、とても心強いですよね。

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