食品業界の人材に必須の知識?『食品表示検定』の概要と関連データを紹介
食品業界で働く人材にとって、食品表示に関する知識は重要です。食品表示の知識が不足していればインシデントに繋がりかねませんし、逆に、知識に長けていれば食品管理や売上への貢献が期待できます。
この食品表示の知識を可視化できるのが『食品表示検定』です。本記事では、食品表示検定とはどのような試験で、具体的に食品業界の業務にどう役立つのかを解説していきます。
目次食品業界に関わる全ての人の学習機会として食品表示検定を活用
食品表示検定とは、事業者が正しく食品情報を表示する力を養うため、消費者が食品を選択する力をつけるための学習機会として、一般社団法人食品表示検定協会が運営している試験です。
食品表示検定協会は2009年に発足し、主に大手食品業界の役員や品質管理部署の幹部によって構成されていて、消費者の健全な食生活の実現並びに食品関連事業者の信頼確保及び業務の円滑化を図ることを目的とした組織となっています。
試験の難易度は初級/中級/上級に分かれています(詳細は後述)。合格することで食品業界への就職に役立ちますし、すでに食品業界に勤めている人にとっては、そのスキルを証明する指標にもなります。
食品表示検定の初級、中級、上級の違い
食品表示検定の難易度は初級、中級、上級に分かれています。難易度ごとのターゲットや役立つ職種などは以下の通りです。
- 【初級】食品表示の基礎的な内容。食品メーカーや流通業の社員、パートタイマーだけでなく、食品表示の知識をつけたい消費者や、食品業系への就職を目指す学生も受験する
- 【中級】食品表示の専門的な知識が問われる。商品開発や品質管理の担当者、マネージャークラスが多く受験する。
- 【上級】食品表示のエキスパート向け。食品表示の実務者や品質管理部門の責任者・管理職、また食品関連の機関やコンサルタントが受験する。
受験方式は、初級、中級については22年度前期よりコンピューターによるCBT(Computer Based Testing)方式に移行しており、全国300か所以上あるテストセンターの中から自身で会場を選択し、約3週間の試験期間内から希望の日時を選んで受験予約ができます。上級はマークシート&記述方式のペーパー試験で、年に一回、単一日時の一斉試験となっています。
受験者数、合格率など、食品表示検定に関するデータ
食品表示検定に関するデータをいくつか紹介していきます。まず、受験者数の累計はコンスタントに増え続けており、2022年7月現在で160,031人に達しています。
出典:食品表示検定
次に食品表示検定の受験者の傾向です。初級は食品小売業が41%と最も多く、中級、上級は食品製造業が半数近くを占めています。いずれにせよ、どの難易度でも食品製造業、食品小売業が大半を占めており、次点で食品卸売業者・商社や外食・中食産業となっています。ちなみに受験者の男女比はいずれの難易度もほぼ半数ずつという実績です。
出典:食品表示検定
難易度ごとの合格率と平均点は下図のとおりです。初級、中級はそれぞれ63.6%、55%と半数を上回っていますが、上級は受験者91人に対して合格率は16%と低くなっています。
出典:食品表示検定
受験勉強に向けた公開講座や模擬問題演習を食品表示検定協会が公式で提供しているので、試験対策にはこれらの教材を活用するのが良いでしょう。
参考ページ:検定対策セミナー
【まとめ】食品に携わる人は受験を検討してみては
食品表示検定は食品業界に特化した試験であり、協会には食品業界大手から理事が参加しているため実用性のある学習機会となるはずです。2015年の食品表示法の施行によって、食品表示のレギュレーションは整理されましたが、この法令の内容は膨大なため、専門的な知識をもった人材は食品業界で重宝されるはずです。