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「中食」増えていますか?

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外食機会の減少


この1、2年の間で「外食をする機会が少なくなった」と感じられる方、非常に多いかと思います。コロナ禍よる飲食店の営業時間短縮や営業自粛により、外食産業は大きな損害を被りました。

しかしながら、人間にとって食事は替えの利かないものであり、外食をしないことは食事をしないことと同義ではありません。外で食べることができなければ、当然、家で食べるわけです。

食事は、その場所や調理の手間の観点から、大きく3つに分類することができます。

まずは上で挙げた「外食」です。家庭の外で、調理せずに食べる場合がこれに該当します。
これに対して「内食」は家庭内で、調理して食べるケースを指します。
3つ目が今回のテーマである「中食」です。これは外食と内食の中間に位置し、家庭内で、調理せずに食べることができるものです。コンビニ弁当が代表的ですが、最近ではフードデリバリーサービスも存在感を示しています。

数年前と現在とでは、食品業界の様相が一変しているように感じられます。
コロナ禍は食品を取り巻く環境にどのような変化を与えたのか、過去の予測やデータと将来の展望にういて考えていきます。

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コロナ禍前の外食、中食、内食の推移予測


農林水産省がコロナ禍前に出した「世帯類型別の食糧支出割合の推移(1990年から2015年までは実績値。2015年から2035年までは推計値)」で外食、中食、内食のバランスを見ると、外食はゆるやかに減少(1990年22.6%→2035年20.7%)。生鮮食料の購入(内食)は大幅に減少(1990年34.4%→2035年20.4%)。外食と内食の減少分は中食の占める割合が増加(1990年43.0%→2035年58.9%)するだろうと見られていました。

これは、家族累計別割合で夫婦と子の世帯は大きく減少する一方、単身世帯は大きく増加していくだろうという推計によるものです。もちろん世帯人数だけではなく、近年は家族のうち、仕事を持っている人の割合も多くなりましたので、中食が増える理由として「時間がない」や、「調理・片付けが面倒」、「自分で食事を作るより価格が安い」などの回答が多い傾向にあります。

ではこの推計はコロナ禍により大きく変化したのでしょうか。
前出と同条件による調査はありませんので、他のデータで見てみたいと思います。

2019,2020年の比較


一般社団法人日本総菜協会によると中食産業の2019年の総菜市場規模は10兆3,200億円、2020年度は9兆8,195億円と対前年比95.2%となっています。このデータはあくまでも総菜市場です。

日本総菜協会による総菜の定義は、市販の弁当や総菜など、家庭外で調理・加工された食品を家庭や職場・学校・屋外などに持ち帰ってすぐに(調理加熱することなく)食べられる、日持ちのしない調理済食品となっています。給食や調理冷凍食品やレトルト食品などは含まれていませんし、デリバリーサービス市場の数字も含まれていません。
この前年度割れの理由はコロナ禍で外出が減り、それに伴って買い物機会が減ったことなども上げられます。

一方、一般社団法人日本フードサービス協会の調べでは、外食産業の2020年の市場規模は29兆656億円で、前年比で84.9%であったということです。この下げ幅は調査開始以来最大の下げ幅だったそうですが、コロナ禍で一気に利用機会が増えたであろうデリバリーも含まれた数字です。
デリバリーサービス市場単体で見れば、市場規模は前年比50%増という調査結果もありますので、デリバリーサービス市場を除いたら、外食市場規模の落ち込みは更に大きなものとなります。

外食・中食のこれから


ではこれから先の外食、中食はどのように変化していくのでしょうか。これはあくまでも未来のことですので、現地点では正解は分かりません。専門家によっても意見は分かれることでしょう。

外食と中食のバランスは、コロナ後の働き方にも大きく左右されるのではないでしょうか。
このままリモートワークが定着したと仮定して考えてみましょう。

コロナ後の外食は渦中にいる今よりも盛り返すことはあるでしょう。ですが、オフィスに出勤し、仕事が終わったら同僚と飲みに行く。なんて機会も減ってしまうのは考えるに難しいことではないでしょう。一方、リモートワークの日は、ランチでのデリバリー需要は相変わらず高めかも知れませんね。
一人暮らし世帯であれば、「ランチもディナーもデリバリーで済ませました」なんて日も珍しくないのではないでしょうか。

ただしこれはあくまでも配達可能エリアに住んでいる人の場合です。
例えば、UberEatsは2021年3月時点で33都道府県の一部のエリアをカバーしています。
Uber Japan株式会社は今年中に47都道府県にエリアを拡大させる方針とのことですが、広がったとしても各都道府県の人口が集中しているエリアに限定されることは想像に難くありません。

デリバリーを利用できない地域に住んでいる場合でも、ネットショッピングの需要はまだまだ拡大していくでしょう。
Amazonや楽天市場で鍋料理を検索したら、日本全国の鍋料理のセットが沢山出てきます。
地域の名産を自宅にいながら注文し、食べることができるのは本当に便利ですよね。

外食産業もコロナ禍が過ぎ去るのをじっと待っているわけではありません。店内の感染対策や、取り分けしなくても済むように配膳に気を配るなど、多くの取り組みをしていらっしゃることでしょう。その成果はコロナ後も生かしていけるものですし、外食が無くなるわけでもありません。今言えることは、安心して外食を楽しめる日が来ることを、たくさんの人が心待ちにしているということです。

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