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市場規模拡大中 『ジビエ』を知ろう

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はじめに


いきなりですが、お肉を食べる状況を思い浮かべてみてください。皆さんが想像しているのは、おそらく牛か豚、もしかすると鶏かもしれません。「ジビエ」に関連するワードが浮かんだ方は流行に敏感であるか、本当に好きであるかに限られるでしょう。

ジビエとは、狩猟によって得た野生鳥獣の肉を意味するフランス語です。シカやイノシシといった特定の動物を指すわけではなく、それらの総称ということになります。

日本では、以前より野生鳥獣被害に悩まされている農村が多くあります。駆除で終わらせるのではなく、何か有効活用できないかということで、「食べる」ことを中心に取り組みが行われています。

ジビエの特長


急峻地に生息しているシカやイノシシは運動量が豊富で、一般的な家畜と比較して筋肉が発達しています。特にシカは無駄な脂質が少なく、かつ牛や豚と比較して高たんぱくであることが大きな特徴です。

イノシシは豚と比較した場合、脂質やたんぱく質の含有量にこそ大きな差はありませんが、鉄分は約4倍、ビタミンB12は約3倍と、身体にうれしい栄養価となっています。
ちなみにビタミンB12は、神経や血液細胞を健康に保つ働きをしてくれるものです。

ジビエの利用拡大


ジビエ利用量については、年々増加傾向にあります。食用肉だけでなく、ペットフードなどにも利用されています。
平成28年度の1,283tと比べると令和2年度の利用量は1,810tまで増加しています。農林水産省は、令和7年度までにこの利用量を倍以上の約4,000tとすることを目標としており、広くジビエについて知ってもらうための取り組みが行われています。

また、実際の利用量を環境省のデータと照らし合わせてみると、イノシシ・シカの狩猟及び捕獲頭数に対するジビエ利用頭数の割合は平成29年度が8%(イノシシ:28,038頭/552,500頭、シカ:64,406頭/600,800頭)、令和2年度が9.6%ほど(イノシシ:34,769頭/678,900頭、シカ:85,840頭/674,800頭)になっています。狩猟及び捕獲頭数が増加傾向であることも踏まえると、前述の利用量増加の目標は現実味があると言えるでしょう。

出典:農林水産省HP食べて発見!ジビエの魅力
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2201/spe1_04.html

安全性について知る


私たちが食事をする上で、味はもちろんのこと、大前提として安心・安全なものが提供されることが重要となります。ジビエと聞くと、最初に「本当に安全なのだろうか?」と考える方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。確かに食用肉として広く知られる牛や豚、鶏とは異なり、人間が飼養管理しているものではありません。実際のところ、E型肝炎ウイルス(HEV)や腸管出血性大腸菌を保有しているリスクがあることが厚生労働省などから報告されています。

しかしながら、これらの発症例は生食時に集中しており、正しく処理加工すれば、安全に楽しむことができます。

私たちが食事をする上で、味はもちろんのこと、大前提として安心・安全なものが提供されることが重要となります。ジビエ利用拡大のため、2014年に「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」が策定され、その4年後には流通するジビエの安全性の更なる向上と透明性の確保のために「国産ジビエ認証制度」が制定されました。現在では、この認証制度に基づく食肉加工施設は全国に約30施設存在しています。

この認証を受けることで、多くの専門家により客観的に安全であることが証明されたジビエの提供が可能となります。また、牛と同じく、捕獲から処理までの個体情報を追跡できる仕組みも作られているようです。

最後に


ジビエは、これまで「害獣」とされてきた野生鳥獣が、私たちの食文化をより豊かにしてくれる味わい深い食材とみなされつつあります。また、農村などでは地域活性化に繋がる地域資源としても注目されているようです。

(株)テレビ東京コミュニケーションズが公開しているジビエポータルサイト「ジビエト」では、飲食店を中心として全国のジビエを扱う店舗を記事形式で掲載しています。
皆さんの身近なところでも、ジビエを楽しむことのできるお店があるかもしれませんので、ここでご紹介してきます。

ジビエポータルサイト「ジビエト」
https://gibierto.jp/

一般的な食材と同じく、高い安全性の確保は重要ですが、ジビエも一つのSDGsとして今後も拡大が期待されます。

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