15年ぶりの食品衛生法改正(その1)
改正の概要
以前の記事でも取り上げましたが、平成30年6月13日、食品衛生法改正(食品衛生法等の一部を改正する法律)が公布されました。
食品衛生法は実に15年ぶりの改正となり、下記7項目が掲げられました。
1. 広域的な食中毒事案への対策強化
2. HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化
3. 特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集
4. 国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備
5. 営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設
6. 食品リコール情報の報告制度の創設
7. その他
今回はこのうちの「1. 広域的な食中毒事案への対策強化」について掘り下げてみたいと思います。
- いつ生産した製品がいつどこに販売されているか把握できていない
- 入出荷、在庫管理に関わる業務を効率化して物流コストを削減したい
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今回の食品衛生法改正にこちらが盛り込まれたきっかけは、平成29年8月に関東地方を中心に広域的に発生したO157による感染症・食中毒被害によるものでした。
この被害の調査によると、O157VT2タイプの遺伝子分析の結果、7月17日から9月1日までに発症した141件のうち116件の菌株情報が判明し、91件が同一遺伝子型であったというものでした。
そこまでは明らかになったものの、原因に関しては、食中毒調査で総菜チェーン店や飲食店が提供した食品が原因とされましたが、各事項に共通する発生要因は明らかになりませんでした。
なぜならば、食品衛生法改正前は食中毒が発生しても狭域で対応しており、情報共有の仕組みも無く、事例のような広域での発生に対応する体制が整っていなかったからです。
調査結果の取りまとめの中に以下の記載があります。
調査に際して、広域発生事例の早期探知等が遅れた要因としては、①各自治体間の情報共有、②国による情報のとりまとめ、③当該とりまとめ情報の関係自治体間への共有、④遺伝子型別の検査手法の違いによる結果の集約等に時間を要したことが挙げられる。
上記調査結果を受け、いくつか対策が打ち出されました。その中の1つにブロックごとに「広域連携協議会」を設置するとあり、平成31年4月1日、地方厚生局(北海道厚生局、東北厚生局、関東信越厚生局、東海北陸厚生局、近畿厚生局、中国四国厚生局、九州厚生局の計7カ所) の管轄区域ごとに広域連携協議会が設置されました。
協議会の設置規定は、食品衛生法第21条の3第1項及び食品衛生法施行規則第21条の規定に基づき、厚生労働大臣が、監視指導の実施に当たっての連携協力体制の整備を図るため、各地方厚生局の管轄区域ごとに広域連携協議会を設けることを規定したものです。
協議会設置の目的は、「協議会は、国及び都道府県、保健所を設置する市並びに特別区の食品衛生に関する監視指導の実施に当たっての関係者の連携協力体制を整備し、食品、添加物、器具又は容器包装(以下「食品等」という。)に起因する中毒患者又はその疑いのある者の広域にわたる発生又はその拡大を防止し、及び広域にわたり流通する食品等の食品衛生法違反を防止することを目的とする」と協議会の運営要領に明記されています。
厚生労働大臣は、協議会を活用して、広域的な食中毒事案への対応を行う、としていますので、感染症・食中毒被害が発生すればすぐさま動き出す体制が整ったということですね。 有事の時以外も定例会が開催されているようですが、議事は非公開となっているようです。
ここまで広域的な食中毒事案への対策強化について書いてきました。これは食中毒が起きてしまった場合の法律ですよね。では、そもそも「食中毒を起こさないためにはどうしたら良いのか」に触れていきたいと思います。 食のプロフェッショナルの方でしたら当たり前の知識だとは思いますが、気を付けるに越したことはありませんので復習だと思ってお付き合い下さい。
食中毒の原因
食中毒の発症原因は大きく分けると3つあります。細菌性、ウィルス性、自然毒です。
■細菌は、陽炎ビブリオ、サルモネラ菌、病原性大腸菌などがあります。これらは湿気や高温を好みますから、これからの季節は十分気を付ける必要があります。
■ウィルスは、ノロウィルスが代表的ですが。これは最近とは真逆で、乾燥、低温好きですので、冬季に猛威を振るう恐れがあります。皆さんもご存知の通り、暑い季節でも活発なものもありますので、ウィルスは冬だけ、と限定されるではありません。
■自然毒は食品自体が毒を持っていますので、その食品を食べてしまうと症状が出てしまうのは想像に難くありません。例としては、フグ毒、貝毒、毒キノコ、カビなどがあります。
厚生労働省によると、令和2年の食中毒発生状況は、全国で887件。患者数にすると14,613人。その内、細菌による患者数は9,632人。ウィルスによる患者数は3,701人でした。
食中毒予防3原則
食中毒はかからないことが大切です。食中毒予防3原則は食中毒菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」です。
「つけない」…調理前や食事前、トイレの後や外出からの帰宅時など手洗いをしっかりすること。生肉、生魚は他の食材に触れないように保管をしましょう。
「増やさない」…調理済みの食品は室温で放置せず、なるべく早めに食べましょう。保存する場合は冷蔵庫に入れてなるべく早く食べましょう。
「やっつける」…調理の際はしっかり加熱しましょう。消費期限と保存方法を守って開封後はなるべく早く食べきりましょう。
調理器具は洗剤でこまめに洗い、時には熱湯や漂白剤による消毒を。
夏が終わるまでは細菌が繁殖しやすい季節です。
コロナ禍の今、体調が悪くても病院に行きにくいと思う方もいらっしゃるかもしれません。
食中毒に限らず、個人ができることは「予防」です。しっかり予防して夏バテしないよう栄養を取りたいですね。
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