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15年ぶりの食品衛生法改正(その5)

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食品リコール情報の報告制度の創設


近年、食の安全を重要視する声はどんどん大きくなってきています。ですがこれまで食品リコールの情報は一元的に管理されておらず、各地方自治体のルールに基づき対応がなされているのが現実で、情報が散らばっていたため広域での有効活用ができていないという問題がありました。

そこで厚生労働省は、食品衛生法改正の中に「食品リコール情報の報告制度の創設」を盛り込んだのです。

「事業者による食品等のリコール情報を行政が確実に把握し、明確な監視指導や消費者への情報提供につなげ、食品による健康被害を防止するため、事業者がリコールを行う場合に行政への届出を義務付ける」としたのです。これは令和3年6月1日より完全施行となりました。

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届出対象


届出対象は「食品衛生法違反又は違反のおそれのあるもの」と「食品表示法違反のもの」とされました。

■食品衛生法違反又は違反のおそれのあるもの(例)
・腸管出血性大腸菌に汚染された生食用野菜、ナチュラルチーズなど加熱せずに喫食する食品
・シール不良等により、腐敗、変敗した食品
・硬質異物(ガラス片、プラスチック等)が混入した食品
・一般細菌数や大腸菌群などの成分規格不適合の食品
・添加物の使用基準に違反した食品

■食品表示法違反のもの(例)
・小麦粉を使用しているにもかかわらず、小麦のアレルゲン表示が欠落した食品
・消費期限について、本来表示すべき期限より長い期限を表示した食品
・保存温度について、本来表示する温度よりも高い温度を表示した食品
・アスパルテームを使用しているにもかかわらず、「L-フェニルアラニン化合物を含む旨」の表示が欠落した食品

届出対象外


■食品衛生法

  1. 食品衛生法第59条第1項又は第2講の規定による命令を受けて回収するとき
  2. 食品衛生上の危害が発生するおそれがない場合として厚生労働省令・内閣府令(食品衛生法第58条第1項に規定する食品衛生上の危害が発生するおそれがない場合等を定める命令(令和元年内閣府令・厚生労働省第11号))で定めるとき

・当該食品等が不特定かつ多数の物に対して販売されたものでなく、容易に回収できることが明らかな場合
・当該食品等を消費者が飲食の用に供しないことが明らかな場合

■食品表示法

  1. 食品表示法第6条第8項の規定による命令を受けて回収するとき
  2. 食品表示法第10条の2第1項に規定する食品の販売の相手方(消費者を含む)が特定されている場合であって、当該食品の販売をした食品関連事業者等が当該販売の相手方に直ちに連絡することにより、当該食品が摂取されていないこと及び摂取されるおそれがないことが確認されたとき


届出は製造者、販売者と限定せず、発生したリコールについて、最も効率的に製品を回収できる事業者が責任をもって届け出るのが望ましいとされています。
届出された自主回収情報は健康被害発生の可能性を考慮し、クラス分類がなされます。

届出方法


届出は原則Web「食品衛生等システム」からとなります。

食品衛生申請等システム (mhlw.go.jp)

システムが利用できない場合は、消費者庁の窓口へ

郵送・・・〒100-8958 東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎第4号館7階「消費者庁表示対策課食品表示対策室」
FAX・・・03-3507-9293
メール・・・g.shokutai-uketsuke@caa.go.jp でも受付をして下さいます。

下記から利用方法のリーフレットが閲覧できます。

【最終版】210510リコール リーフレット(消費者・事業者) - コピー (mhlw.go.jp)

申請にはアカウント登録が必要ですが、「GビズID」をお持ちの場合はそちらが使えます。

※GビズIDとは1つのID・パスワードで様々な行政サービスにログインできるサービスです。


上図は届出から公表までのフローです。
届出の内容は、「監視指導」への活用と「消費者への情報提供」のために使われます。

閲覧方法


リコール情報の閲覧は下記から誰でも閲覧することができます。

食品衛生公開[公開回収事案検索] (mhlw.go.jp)

サイトにアクセスすると上記の画面が出てきます。
実際に「届出年月日」を令和3年6月1日から令和3年7月31日に設定して「検索」をしてみると、期間中に届出された情報が出てきました。

事業者から届出された情報は消費者に必要な内容としては、以下が一覧から見ることができます。

「クラス分類」「回収の理由」「届出年月日」「公開年月日」「商品等の一般名称」「商品名」「食品等の特定情報」「管轄都道府県名」「管轄保健所」「届出者名」「回収担当名」「製造所名」等。

更に詳しい内容は一覧の左端にある「詳細」をクリックすると「回収の理由」「回収方法」「画像」等を見ることができます。

このように誰でも簡単にアクセスができ、統一のフォーマットで必要な情報を閲覧できる仕組みは非常に利便性が高いと言えるでしょう。
特に「CLASSⅠ」に分類されるような事象であれば、情報が一般に公開されるまでのスピードにより被害の大小も決まってくると思われます。

このシステムがより多くの人に利用されるようになるといいですよね。

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