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業務の標準化と属人化

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はじめに


会社やお店など複数人で業務にあたっている現場では、担当がいないから分からないという状況に何度も出くわしたことがあるのではないでしょうか。

営業職では、契約までのプロセスでクライアントと細かなことも打ち合わせているでしょうから、わからないことがあっても仕方がない局面もあるでしょう。得意先も聞きたいことがあれば、携帯電話で直接担当の営業マンに連絡を入れるでしょうし、そのための担当制でもあります。

担当者不在で判断がつかないという状況は、内勤業務の方に多いのではないでしょうか。それほど複雑な業務でなかったとしても、業務にあたっているのが一人であればこのような状況は発生してしまいます。不在でなくても、担当者が多くの仕事を抱え込んでいると判断が遅くなってしまい仕事の渋滞が起きてしまいます。

今回は業務の標準化について考えてみましょう。

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標準化と属人化


業務の標準化とは、いつ、誰が業務についても、品質やかかる時間を一定に保つことができる状態です。
逆に業務の属人化とは、特定の人しか業務のフローや進捗を把握しておらず、その人がいなければ業務が滞ってしまう状態です。

日本では終身雇用の考えが希薄になっている傾向にあります。社員の転職による退職も珍しいことではありません。そういった中、業務の属人化が発生してしまうと、社内に業務のノウハウが蓄積されにくく、業務品質の低下や業務効率の低下に繋がってしまいます。

一方、全ての業務を標準化するのも無理があります。例えば、特別な高いスキルが必要な業務や重要な判断が求められる業務は標準化には向いていません。それらは属人化させた方がいい場合もあります。

標準化に向いている業務が属人化してしまわないように、企業は手を打っていく必要があります。

属人化する原因


では、なぜ業務は属人化してしまうのでしょうか。

原因は企業や業務内容によって様々だと思いますが、まず挙げられるのは社内のコミュニケーション不足ではないでしょうか。
仕事量に忙殺されて、部門内、部門間のコミュニケーションが取れず、気が付けば担当者以外誰も業務進捗を追えていないというパターンです。

このような場合は、業務を標準化しようと思っても業務内容を理解している担当者が忙しいですから、標準化するために必要なマニュアル作成や他の社員への業務教育もなかなかできにくい状況になってしまいます。

その他、業務を担当している社員の働き方に起因することもあります。仕事を囲いたがる人は程度の差はあれども、企業にはある程度いますよね。
他の人に仕事を任せられないため、仕事量が多くても他者に渡そうとしないのです。そのため、業務工程の中でその担当者が実施している業務の渋滞が起き、全体の工程も遅くなってしまうのです。

この場合、同じ立場の同僚同士ではなかなか思いやりを持って業務を補完し合うことは難しいのではないかと思います。よって責任者は最初からしっかり業務分担の管理をする必要があります。もちろん仕事を離さない社員がだめだといっているわけではありません。適材適所が大切なのです。

標準化のメリット/デメリット


続いて、標準化のメリットについて考えてみます。

マニュアルを作成しておけば、誰が業務にあたっても同じ品質を保つことができることは大きなメリットです。新人もベテランも関係なく業務にあたることができますので、急な休みや退職による業務品質の低下も起こりにくいでしょう。標準化することで、社内ノウハウを蓄積していくことができるのもメリットです。

次はデメリットについてです。

標準化は企業にとってはメリットとなるところが多いですが、一個人としてはモチベーションの低下を招くことがあります。マニュアルに沿った仕事は個人の創意工夫は反映されにくいため、ワンパターン化しやすく、自分で考えて行動したいタイプの人はモチベーションが低下してしまうかもしれません。

また、マニュアルは一度作成したらずっと使えるわけではありません。マニュアルを更新し続けるという作業は考えているほど簡単なものではありませんし、現場の声を反映させる仕組みも必要です。

業務標準化事例


ある電化製品の修理受付窓口では、受付者により修理可否の判断基準が曖昧でスタッフスキルにも差がありました。

社内の問題としては、スキルの高いスタッフに業務負荷がかかってしまい、修理拠点への発送業務は窓口が閉まってからでないとできない状態が膠着化しており残業の原因にもなっていました。
対外的には、お客様はベテランスタッフにあたれば良いですが、新人スタッフにあたってしまうと時間がかかる上に判断ミスが重なるケースもあり、ご迷惑をお掛けすることもありました。

そこで業務の標準化をすべく、窓口とバックヤード業務に分けて取り組むことになりました。
窓口では、それまでベテランも新人も全てのスタッフが故障受付を窓口が空いた順番で受けていたのを見直し、スタッフ数の1/3を故障専門スタッフに抜擢し、専門スタッフ間で故障ツールを使った判断、受付表の見直し、受付フローなどを共有化し、見える化していきました。シフトも故障スタッフが必ず複数名いるように組み、担当者が休みだからわからないという状態を無くしていきました。

標準化というと全てのスタッフが対象となり、誰でも一定のスキルでできるようにすると考えがちですが、このように、あえて担当者を絞った中で標準化をするという考え方もあります。

バックヤード業務は修理品の発送業務を誰でもできるようにチェックリストを作成し、チェックリストに全てチェックが入ればいいように改善、故障担当者は最終確認だけすれば良いようにしました。
これにより、残業時間の偏りも少なくなり、業務効率も上がりました。

属人化している業務があっても「今は困っていないから」という理由で標準化を見送っている場合、突然の退職等である日、急に困った状態になりがちです。
余力がある時に、標準化するための取り組みを実施し、PDCAサイクルを回し、困らない状況を作っておくべきです。

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